棘(トゲ)とウイルス

木瓜(ぼけ)の木が、今春も美しい花を咲かせてくれました。

恥ずかしながら、私はお寺に入るまで、この「木瓜(ぼけ)」という木(花)の存在さえも知りませんでした。

 

皆さまは良く御存知だと思いますが、木瓜はバラ科の植物で、”大変立派な”トゲ(棘)を持っています。

ですので、「花がキレイだなあ…」と安易に近づいてしまうと、頑丈なトゲに「これ以上近付くな!」と言わんばかりに

攻撃されてしまいます。

通路まで伸びてきたら少し剪定したり、根本近くの雑草を刈る時は最大限の注意を払ったりと、少々手間がかかりますが、

「この棘があるからこそ、美しい花を咲かせることができるんだろうな」と実感すると、「棘が無ければいいのに」という

”勝手な欲望””が少し落ち着きます。

 

世界中が新型ウイルスによって大混乱となっている昨今ですが、

「ウイルスなんて無ければいい」「さっさと封じ込めてほしい」という欲望は、

”人間本位な勝手な欲望”なんだということを、心の片隅だけでも、忘れないようにしなくてはと思います。

仏教に限らず、多くの思想で、「物事の善い面と悪い面は、見方の違いだけで、実は一体のものである」とする

『善悪不二』『陰陽一体』

という真理が説かれていますしね。

 

今こそ、「ウイルス」という”棘(トゲ)”とうまく共生しながら、「豊かな資源」という”美しい花”を享受する、

その、人間としての”欲望”ではなく『智慧』が試されているような気がします。

 

引き続き、日々、祈りを捧げていきたいと思います。

合掌 南無妙法蓮華経