3つの命

庭にある辛夷(こぶし)の木が、たくさんの白く美しい花を咲かせてくれました。

この時期は、どうしても桜の花が注目を浴びますが、身近な植物がいつも通りに”命を輝かせている”姿を見ると、

ホッとするとともに、自分の命も元気になるような気がします。

 

広辞苑で「辛夷(こぶし)」を引いてみると、”花は香水の原料になる”と書かれていました。

落ちた花びらを手に取って嗅いでみると、確かに甘い優しい香りがします。

知らないことっていっぱいあるもんですね。

 

昨日は、7都府県に緊急事態宣言が出され、皆が「命を守る」ための行動を取るよう指針が出されました。

全ての人にとって平等に大切な『命』ですが、

私は、この『人間の命』には、3種類の『命』があると思っています。

 

1、生物としての(医学的)『命』

 

2、人間としての健全な『命』…”人と人との間”に生きていることを実感でき、ストレス等によって心が病まず輝いている『命』

 

3、社会における『命』…経済的・社会保障的な基盤があって安心して生活できる『命』

 

国が「命を守る」といった時には、どうしても1と3の『命』を優先されています。

しかし、今回のような非常事態にも、2の”人間としての”『命』がちゃんと輝いているか、おかしくなっていないか、

を忘れずにチェックしておくことも、とても大切なはずです。

私たち人間を”人間たらしめている”ものは、取りも直さず、私たちの「心」だからです。

 

先日、外出禁止令が出ているフランスのパリにおいて、夜8時に市民が窓を開けて一斉に拍手をし、頑張ってくれている

医療従事者に対して感謝の想いを伝える、というアクションが自然発生的に行われていることが報道されていました。

 

これはもちろん、医療従事者への想いを伝えたいというのがスタートだったとは思いますが、

2の”人間としての”『命』である「連帯感」をお互いに肌で確かめ合いたいという欲求があったからこそ、

毎日続いているのだと、私は感じました。

緊急事態宣言が出された日本においても参考になるのではないでしょうか?

 

こういう状況においては、弱い立場である高齢者や子供達が、苦しみの声を上げられず「孤独感」を深め、

2の”人間としての”大切な『命』の輝きを失ってしまうことが、とても心配になります。

家族や学校だけでなく、国民皆がお互いが励まし合って、連帯感を実感し、輝きを失わないように意識・実践していく

そんな決意を持てたらいいなと思います。

 

そして、ウイルスが終息した暁には、3つの大切な『命』を欠けることなく合体して、

写真にある辛夷(こぶし)のように、皆が大輪の『命』の花を咲かせ輝かせる、そんな日を待ちわびたい、と切に願います。

 

南無妙法蓮華経

南無妙法蓮華経