花手水(はなちょうず)
春のお彼岸が近付いてきました。
御宝前に上げられた花や境内に咲いた花を使って、寺庭婦人が本堂前に
『花手水』(はなちょうず・はなてみず)
を作りました。
皆さんもご存知のように、「花」は『香』『灯明』と並んで、仏様を供養する最も大切なものの一つです。
どのお宅の仏壇にも、必ずこの三つはお供えしてありますよね。
以前、このような質問を受けたことがありました。
「仏様を供養するためのお花なのに、なぜ仏様の方にお花を向けないのですか?」と。
もっともな質問だと思います。
実は、「向上相」(こうじょうそう)といって、花を仏様の方に向ける供え方もきちんとあるのです。
ですが、美しい花が仏様の方を向いてると、当然のことながら、手を合わせる私たちには美しい花が見えませんよね。
花を仏様にお供えする理由の一つは、
もちろん仏様・ご先祖様に美しい花を見てもらって心地良くなってもらうことですが、
もう一つ大切な意味があるのです。
それは、
供養する私たち自身の心を浄め和やかにして、悟り・智慧を求める心の花を咲かせること
です。
ですから、お花を私たちの方に向けて供える「向下相」(こうげそう)が一般的な理由、それは
人間として生きている私たち自身が、悟り・智慧を求める心を起こすことが、仏様ご先祖様への一番の供養になるから
なのです。
これからは、身近に多くの花が見られる季節になります。
悟りや智慧、と聞くと難しく感じられるかも知れませんが、
身近な花の命を少し頂いて、気軽に自分だけの「花手水」を作ってみてはいかがでしょうか?
玄関や食卓に置くだけでも、心が穏やかになったり癒されたりする効果がきっとあると思います。
そんな時、ご先祖様もあなたの横で微笑んでいるに違いありません。
どうぞ心地良い春のお彼岸をお過ごしください。
合掌
南無妙法蓮華経